日時:12 月 22 日(日) 14:00-16:30
会場:サンパルネ・コンベンションホール(東村山駅西口 ワンズタワー2 階)

2008 年に公開されたこの映画は翌 2009 年に日本映画初のアカデミー外国語映画賞(現アカデミー国際長編映画賞)に輝きました。主人公を演じた俳優本木雅弘氏(公開時 43 歳)が 31 歳の時に出会った“納棺夫日記”という本に感銘を受け、10 数年かけ映画化にこぎつけました。
父にチェロに導かれチェリストであった主人公は楽団の解散とともに職を失い、職探しの広告“旅のお手伝い”を見て訪問すると、実は“安らかな旅のお手伝い納棺師(遺体を棺に納める仕事)”の職でした。
最初の仕事は死後 2 週間たった孤独死のご遺体の納棺で、心身ともにすさまじい衝撃を受けました。その後、男性として生まれ女性として人生を終えた人、幼い子どもを残したお母さん、キスマークに囲まれた大往生のおじいさん等様々な人々を見送る中、徐々にこの仕事の意味や尊厳を体感していきます。幼い頃に父は愛人と出奔し、母一人で育てられ、その母も他界した今、唯一の家族が妻でした。その妻は彼の仕事の内容を知ると拒否反応を起こし、家を出て行きます。
孤独の中で、再びチェロを手に取り、奏でる美しいメロディーが、舞台となった山形県庄内平野の風景とともに、全編を彩ります。半年後妊娠した妻が帰ってきます。妻は彼の仕事を身近で見る機会を得て、その厳粛さに心を開いていきます。そんな折、生き別れた父が亡くなっている連絡が入り、会いに行きます。父はずっと一人だった事、主人公への深い愛情に満ちた父の想いを知ります。彼は父を心を込めて納棺します。
私事ですが、この会の 10 日ほど前に母が旅立ち、納棺師の方の遺族に対する心遣いを目の当たりにしたばかりでした。今では湯灌というお風呂に入るような形でのお清めが有り、シャンプーをし、女性はパックをもするようで、時代を感じました。いつかは来るお別れ。その迎え方を映画会で皆様と共有できたことは素晴らしい時間でした。
*尚、本映画は吉澤会員のコレクションからご厚意により提供されました。

来場者は 89 名(市民 64 名、会員・ご家族 25 名)。
会員名(敬称略):青山、阿部(淳)、大内、岡田、加藤、紅松(容)、黒田、小林(裕)、佐久間、副島、滝川、滝来(京)、田邉、千葉、當間夫妻、戸田、平井、藤井、町田、三宅、安田、吉澤夫妻、吉田勝

市民雑学講座-おくりびと572x337
(小林 裕子 記、佐久間 卓 写真)

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