雑学講座講師

日時:4月27日(土)14:00~16:00
会場:サンパルネ・コンベンションホール
講師:稲垣智花氏
武蔵野大学講師、早稲田大学エクステンションセンター講師

 今回の講演では、稲垣講師に大河ドラマで放映中の『光る君へ』に関連し、当時の時代背景や平安貴族の文化、そして登場するさまざまな人物の実像について歴史物語の視点から語っていただきました。
 紫式部の名は日本人であれば誰もが知っていますが、謎の多い人物でもあります。彼女の生まれた年も亡くなった年も記録が残っていないそうです。彼女の曾祖父藤原兼輔は中納言従三位でしかも娘桑子は醍醐更衣と地位の高い貴族の家柄でした。
 しかし父の為時は正五位下の学者でしたが官職に恵まれなかったようです。そのため彼女は貴族のお姫様ではありましたが、低位の貴族の娘として育ちました。しかし学者としての血筋は自然に受け継がれ、若いころからその頭角を発揮していたようです。当時の女性の名は官位がなければ記録に残らないそうで単に女子とされ、ドラマの中では『まひろ』という名で呼ばれていますが、これは脚本家が付けた名前との事でした。
 藤原道長は平安時代で最も名高い公卿の座に登り詰めましたが、同族間の骨肉の争いの中で幾多のラッキーが重なってその座を掴んだとの事です。ラッキーとは、中宮で一条天皇の母であった姉が兄弟の中でも最も道長を可愛がった事、その姉の勧めで醍醐天皇の王子で左大臣源高明の娘明子を嫁に出来た事、6男6女全て成人したがこれは当時では稀な事であった、そして娘は天皇家に入内させ、良い婿取りには欠かせない事等。
 道長と紫式部との関係は「紫式部日記」に意味深な記述が残っていますが、両者の関係にはさまざまな意見があり、永遠の謎となっています。このように謎が多いテーマだけに、今回の大河ドラマの展開をどう視聴者に響かせるかは脚本家の腕にかかっていると言えます。
 一方、講師曰く、ドラマでは『まひろ』は頻繁に外出しているが、当時のお姫様は外出する事はほとんどなく、ドラマを見て驚いたと。
今回の雑学講座に参加した市民と会員の総数は125名で女性の市民の方が多く参加されました。今回の講演を聴いて、大河ドラマの裏側にあるエピソードや謎を知り、より楽しんで『光る君へ』を観る事に繋げていただければと願っています。最後に質問コーナーで参加者から「現代語訳源氏物語は誰の書いたものが良いと思うか?」との質問がありました。稲垣講師からは「一節を読み比べてみて、一番自分の好みに合った本を選ぶのが良い」との回答でした。なかなか「源氏物語を読む!」という決断ができなかった私も「読んでみよう」という気持ちが沸いて来ました。

◎来場者数 125名(市民等80名、会員・ご家族45名。内女性77名、男性48名)
参加者(敬称略):赤荻(元会員夫人)、青山、伊藤、遠藤、大内、小田、阿部茂、岡田、小野(浩)、風間、加藤、上町、鴨田、黒田夫妻、小森、崎山、佐久間夫妻、定方、鈴川、副島、髙橋(正)、滝川、田口、田代、田邉、千葉、當間夫妻、戸田、富澤夫妻、野村夫妻、平井、藤井、真泉、町田、三宅、安田、山本、吉澤夫妻、吉田勝

雑学講座客席                                       (真泉 順一 記、佐久間 卓 写真