講師:生井 英考氏(アメリカ文化学者・元立教大学教授)
日時:6月15日(土)14:00~16:00  会場:サンパルネ・コンベンション

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講師の生井英考先生は慶応大学文学部を卒業し、ICP-バード芸術研究課程芸術研究科に学ばれています。共立女子国際大学国際学部教授を経て、立教大学社会学部メディア社会学科長や同大学アメリカ研究所所長を歴任、2000年から『読売新聞』で「デザイン季評」の連載を20年にわたり行い、同新聞社の書評委員を務めていらっしゃいます。翻訳では「バベル国際翻訳大賞」の文学部門賞を受賞され、現在立教大学アメリカ研究所勤務です。
当日は先生のご事情にて講演開始時刻が10分近く遅くなりましたが、司会の平井幹事による開催宣言、諸注意の説明、町田副会長の挨拶、上町幹事による先生のご紹介。そして、急遽会員で早稲田大学理事であった井原さんから当時の現役の米国大統領クリントン氏がヒラリー夫人同伴で来日中、早稲田大学に来訪したお話などジェスチャーを交え細やかに再現してくださいました。会場内は笑いに包まれたり、驚いたり、場が沸いて出席者のみなさんにとても好評でした。

今年11月の大統領選挙を前にして、アメリカ社会が現在「南北戦争以来」とさえ形容されるほど深刻な「分断の危機」にあるといわれていることが、生井先生から詳しく語られました。この状態は8年前の大統領選挙以来のことだそうです。
けれど、政治対立(とりわけ二大政党間)が激化しているのは確かだとしても、それはただちに社会の分断と等しいといえるのか。この問題意識を軸に講演は行われました。

講演では2000年のアメリカ大統領選挙時に、民主党のアルバート・ゴア候補(当時副大統領)と共和党のジョージ・W・ブッシュ候補のあいだで戦われた選挙がすぐに決着がつかず、「前代未聞」と呼ばれた膠着状態で最高裁の裁定をあおぐ事態に至った経緯を再検討しました。そして当時、政治の分極化が極まったのにもかかわらず、社会の秩序は平然と維持され、「分断」状態が起こらなかったことが確認されました。政治の分極化(Political Polarization) と社会の分断(Social Division)は異なる現象であるとのことです。

本講演は生井先生による社会学的なこの分析をふまえ、政治的分極化を示す各種の世論調査をもとに、「分極化」と「中道」の関係をさらに考察し、今日のアメリカ政治の現状と構造、ならびに社会的「分断」を考えるものとなりました。
講演から約1か月後の米国時間7月13日にトランプ元大統領が銃撃され、死傷者3名を出すショッキングで許しがたい事件が起きました。今回生井先生から「米国大統領選挙とアメリカ社会」の歴史的背景を説明していただいていただけに、なおさらに注意深い考察が必要であると感じさせる講演でした。

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◎来場者数 92名(市民等60名 会員・ご家族32名)

会員名(敬称略) 青山、阿部茂、阿部淳也、井原、大内、岡田、小田、風間、加藤、上町、鴨田、紅松喬、紅松(容)、黒田夫妻、小林(裕)、崎山、佐久間、副島、髙橋(正)、滝川、滝来(洋)、田口、當間、
戸田、富澤、平井、藤井、真泉、町田(光)、三宅、宮元夫人 

                                             (上町 弓子 記、佐久間 卓 写真)