夏を思わせる好天気の5月31日(水)に東村山稲門会女子会会員8名で酒蔵見学(拝島:石川酒造)に行ってきました。 訪問先である石川酒造(株)は本蔵(ほんぐら)が国登録有形文化財になっています。明治13年建築の瓦作りの大きな酒蔵です。現在もこの蔵で「多満自慢」「八重桜」など数種類のお酒を醸造しています。 説明によれば、仕込みには4日程かかり20日から25日でお酒になるそうです。精米から数えればお酒ができるまでは約1か月となります。雑味を抜くため30%の精米が必要。大吟醸では50%の精米が必要です。それで大吟醸は値が張ります。大吟醸は自宅保管が難しく購入したら早く飲んでしまうのが一番良い方法とか。室温が高いと風味が落ちてしまうので保存するならすぐ冷蔵庫に入れる。それでも長く保存すると味が変わってしまうそうです。 大量に出る米ぬかには赤ぬか・白ぬかがあり、ぬか漬け用や塗り物用・煎餅・団子などに使われ、捨てるところはないとのこと。また醸造タンクには物差しが差し込んであり、何センチ濡れているかで酒量を測りこれを基に国税庁に酒税を払っています。仕込みタンクには設置の日付が入っているので、誕生日だからとその日付の前に立って記念写真を撮っていく見学者もあるそうです。 木の桶で醸造していた頃には熱湯を担いで桶の中の階段を伝って運び、桶を洗い消毒していたので、火傷の事故を防ぐために硬い生地の半纏を着て熱湯から身を守り、お湯が掛ったらすぐ脱げるようにしていました。また厚手の長い前掛けは重い酒瓶を運ぶ時の肩当になり、桶の栓が不具合になった時には丸めて穴に押し込み、酒の流出を防ぐ応急処置にも使ったそうです。今でも半纏と前掛けは使われています。 ちなみにもろみ桶の中に落ちたらどうなるか?「酔っ払いま~す」と見学者の中から返事がありましたが、もろみの中はアルコールと炭酸ガスなので「即死する」が正解。 杜氏は仕込みが始まると納豆菌が入り込むのを警戒して納豆は食べないと言われています。昔は仕込みの時期には地方から年季が入った杜氏がやってきて泊りがけで仕込んだそうですが、現在石川酒造では10人程の杜氏が社員として働いており、今の責任者はまだ30歳代の若さです。 本蔵(ほんくら)の軒先には大きな杉玉が吊るしてあります。年に一度新酒が出来た時に新しくするので青々した杉玉は「新酒が出来たよ!」という知らせになっているそうです。杉玉は酒林(しゅりん)とも言われ、神木の杉の木から作られ(殺菌作用がある)大きいサイズだと20万円ほどすると説明がありました。 社員橋本氏の1時間程の流暢な説明の後、樹齢400年と言われる”めおと欅”や仕込み水の引き込みなどを見学して昼食会場に移動しました。 ここには和食どころ’雑蔵(ぞうくら)’と ‘ビール小屋’があり今回は敷地内の向蔵(むこうぐら)ビール工房で作っている地ビールのランチでしたのでイタリアンレストランの方に入りました。 ここのビールは無濾過でコクがありフルーティな香りでアツアツのピザにぴったりでした。さっぱりした日本酒との相性も良くパスタと共に会話も大いに弾みました。デザートのガトーショコラは生チョコがたっぷり入った硬いケーキで美味でした。 日本酒試飲も含めて程よいアルコールと賑やかな話題の数々で盛り上がった後は次回の幹事もすんなり決まり、”あそこに行ってみたい””食事は何が良い”などと様々な希望も出てやがてお開きになりました。 売店’酒世羅’(ワインセラーをもじったサケセラー)で好みの日本酒や地ビール・梅酒を漬け込んだ後の梅・漬物などをお土産に買い込んで帰途につきました。会員相互の親睦が一層深まった感じの笑顔いっぱいの一日でした。 今回は崎山裕子さんと森川節子さんが担当でした。 次回は高橋文子さんと當麻光子さんが秋から年末にかけて企画してくださいます。 参加者(50音順・敬称略) 上素子 崎山裕子 重原眞知子 高橋文子 滝川桜子 當麻光子 森川節子 吉澤雅子 (8名)
(文 吉澤雅子 写真 崎山裕子)